世界の果てまでキミと一緒に。
―千尋Side―
社会的地位、権力、金、女……。
29歳にして全てを手に入れた。
自分が努力して手にしたわけじゃない。
一条家に生まれ、一条財閥の次期後継者として勝手についてきたもの。
小さい頃から英才教育を受け、父親の顔色を伺い、母親に甘えることを知らずに育った。
そうした幼児期の経験が歪んだ感情を生んだ。
何でも必要のないものは切り捨てた。
それは物でも、人でも……。