世界の果てまでキミと一緒に。
一条千尋と暮らし始めて1週間が過ぎた。
彼に初めて抱かれた日から、彼には抱かれていない。
海外出張でヨーロッパに行っていると綾乃さんが教えてくれた。
今日、彼が日本に帰って来るらしい。
私は、ここから出ることは許されない。
部屋の中だけで過ごす日々。
携帯もラジオもテレビもパソコンもない。
時間も曜日の感覚もなく、世間が今、どんな風なのか情報さえもわからない。
窓から見えるイングリッシュガーデンを眺め、綾乃さんが退屈だろうからと用意してくれた小説を読み、1日が終わっていく。
毎日、これの繰り返し。
ここに来るまでは、大学の帰りに友達とお茶して、恋バナや趣味の話、学校の事、いろんな話で盛り上がり、家に帰ればお母さんの美味しいご飯を食べながら家族と笑顔で会話をする。
ごくありふれた日常。
それが当たり前だった。