世界の果てまでキミと一緒に。
家の裏には、表のような立派な庭は存在してなくて、ただ、1本の桜の木が寂しそうに立っていた。
想像していたものと違っていたけど、でも桜の木を見た時に、ここは日本なんだと改めて思い安心した。
春風が吹くたびに、サラサラと音をたて雪のように舞い散る桜。
その花びらは、地面をピンク色に染めていく。
「桜、綺麗ですね。でも、何だか寂しそう……」
「この桜は、旦那様……つまり千尋様のお父様の愛人の方が植えられたと聞いております」
「えっ?」
愛人?
まぁ、お金持ちなら愛人の1人や2人いてもおかしくないだろうけど……。