世界の果てまでキミと一緒に。
「その方は、一条家の家政婦をされていたらしいんですけど、愛人の中でも旦那様の1番のお気に入りだったらしいです。愛人関係に寛大だった奥様も、家政婦を愛人にしたことに激怒され、旦那様と愛人の方が誰にも邪魔されず会える場所として、奥様に内緒でこの家を建てられたらしいです」
そうなんだ……。
なんて答えればいいのかわからず、私は桜の花を見ながら綾乃さんの話を聞いていた。
「その方は、お庭に桜の木が植えたかったらしいんですが、洋風なお庭に桜は似合わないと、旦那さまがこの裏庭に植えたらしいです」
お金持ちのすることはよくわかない。
愛人と2人で会うためだけに、こんな立派な家を建てちゃうんだから。
「じゃー、何で千尋様が住んでるの?」
何で千尋様のお父様と愛人が住んでないんだろう……。
「理由はわかりません。でも別れたみたいです。噂では旦那様が愛人に飽きて追い出したとか……。でも本当のことはわかりません。それで千尋様が住むようになったんです。奥様には千尋様のために旦那様が建てたという事になってるらしいんですが……。この桜の木も切る予定だったんですが、いまだに切られずにこのままです」
「そう、だったんだ……」
綾乃さんはよく知ってるなぁ。
まぁ、噂って言ってたから、そういうことは使用人の間で噂になってるのかも……。