世界の果てまでキミと一緒に。



ー千尋Sideー



書斎から見える桜が好きだった。


いや、好きになったと言った方が正しいのかもしれない。


書斎から見える桜に今まで見向きもせず、何とも思わなかった。


それが何でだろう……。


桜子がこの家に来てから、桜を見る回数が増えた。


たった1週間しか経ってないのに……。


パソコンのキーボードを叩く手を止め、窓から見える桜の木に目をやった。


風が吹き、枝を揺らし、散っていく桜の花。


鬱陶しいとまで思っていたのに……。


でも、今は愛おしいとまで思えるようになっている。


桜子と同じ名前ってだけで……。




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