世界の果てまでキミと一緒に。
「藤堂、休憩にしようか」
「社長が休憩なんて珍しいですね。お茶でもお持ちしましょうか?」
「あぁ、頼む」
「はい、畏まりました」
藤堂はそう言って、椅子から立ち上がると書斎を出て行った。
俺も椅子から離れ、窓の傍まで行き桜を見る。
立派な桜の木。
父の愛人が桜が好きで、この家の裏庭に植えたらしい。
その愛人と父は別れてしまったが、桜の木は切られることなく、家人が変わった今でも毎年、ピンク色の花を満開に咲かせている。