世界の果てまでキミと一緒に。
「そろそろお出かけになる時間ですね」
藤堂の言葉に時計を見ると、時刻は17時10分前。
17時に出かけると藤堂から綾乃に伝えてもらった。
「そうだな」
俺はパソコンの電源を落として、書類を片付けた。
「車を用意するように言っておきますので、社長は桜子さんをお部屋までお迎えに行ってあげて下さい」
「車はいい。自分で運転して行く」
「そうですか。畏まりました。お気を付けて行ってらっしゃいませ」
「あぁ。藤堂も今日は帰っていいぞ」
「はい。今している仕事だけ片付けたら失礼します。早く帰っても、私には愛する人が家で待ってるわけではありませんから」
藤堂が冗談っぽくそう言ってクスッと笑った。
俺も藤堂の言葉にクスッと笑い、携帯と財布をスーツのポケットにしまうと、机から自分の車のキーが付いたキーケースを取って書斎を後にした。