世界の果てまでキミと一緒に。
「千尋か?」
俺の名前を呼ぶ声がして、目線を窓の外から声のする方へ移した。
桜子も同じように窓から声のする方へ目線を移したが、すぐに俯いてしまった。
そこには父親と、その隣にいたのは母親ではなく若い女。
金髪に近い長い髪を派手に巻き、胸の谷間を強調するような下品な服。
食事が不味くなるようなキツイ香水。
胸元も耳も腕も指も全て宝石で彩られた女は、父親の腕に自分の腕を絡めていた。
多分、いや、十中八九、愛人に違いない。
「父さんも、このホテルにお泊りで?」
「いや、食事だけだ。ホテルは別の場所を取ってある」
「そうですか」
ホテルは別の場所とか、そんなことは聞いていない。
いい年して、若い女とセックスする事しか能がないエロ親父。
そんな事を想像するだけで反吐が出る。