世界の果てまでキミと一緒に。
その時……。
ドアの鍵を開ける音がした。
その音で体がビクンと跳ねる。
ドアが開いて、コツコツと靴の音が聞こえる。
その靴音は私がいるベッドの前で止まった。
濃紺のスーツが目に入り、顔をゆっくり上げていく……。
“トクン――。”
胸が小さく跳ね上がった。
長めの黒髪をワックスで遊ばせ、前髪から覗く切れ長の目は、氷のように冷たい印象を与える。
筋の通った高い鼻、形のいい唇、男性にしては色白の肌に細身。
なのに身長は180センチ以上ありそう。
容姿端麗という言葉は彼のためにあると思える。
彼は何歳くらい?
仕事は何をしているの?
ほんのわずかな時間で、いろんな想像が膨らんでいく。
前髪から覗く切れ長の目で私を見下ろしている。
「目が覚めたみたいだな」
男らしい低い声。
声を聞いただけで私の胸はドキドキしていた。