世界の果てまでキミと一緒に。
食事を終えて、部屋に帰った時には外は闇に包まれ、部屋の中はオレンジ色の幻想的な光に包まれていた。
「わぁ!綺麗!」
部屋の窓のカーテンが開かれたままになっていて、窓の前まで走って行き、夜景を見ている桜子は子供のようだ。
そんな桜子の姿を見ていると、自然と笑顔がこぼれる。
「凄く綺麗、です、ね……」
こちらに笑顔で振り向き、そう言った桜子の顔から徐々に笑顔がなくなり、真顔で俺を見る。
「どうした?」
なぜ、桜子の顔から笑顔が消え、真顔になったのか俺にはわからなかった。
「あ、ゴメンなさい……。千尋様の優しい笑顔を見るのが初めてで、ちょっと驚いちゃいました。いつも私に見せる笑顔は目だけで、心から笑っていなくて、だから千尋様をずっと怖いと思ってました。でも、ちゃんと心から笑えて優しい笑顔の作れる人だったんだって初めて知りました」
「そうか……」
「あ、ゴメンなさい。私ったら、余計なことを……」
再び笑顔を見せていた桜子の顔から笑顔が消えた。
「俺は別に怒ってない。気にするな」
「ゴメンなさい……」
桜子はそう言って頭を下げると、また窓の方を向いた。