世界の果てまでキミと一緒に。
「ここから見える星は、人工的に作られた星で、ここから見える光ひとつひとつには、いろんな人間模様やドラマがあって、家の明かりは、それぞれ違う生活があって……」
ふと桜子を見ると、頬に一筋の雫が流れていくのが見えて……。
気付くと俺は、桜子を後ろからギュッと抱きしめていた。
「千尋、様?」
目を見開いたまま突っ立っている桜子の姿が、窓ガラス越しに見えた。
「何で泣く……」
桜子を抱きしめる腕に力が入る。
「何が、そんなに悲しい……」
何で桜子が泣いたのか、そんなの答えはわかっている。
でも桜子の答えを聞いてしまったら、俺の前からいなくなるんじゃないかと思うと怖いんだ。
だから俺は桜子を抱きしめる事しか出来なかった。
桜子の頬を伝った涙は、俺の腕にポタポタと落ちてくる。
声を殺し、しゃくり上げながら泣く桜子。
俺の胸はドキドキしていて、密着している桜子の背中に、激しい胸の鼓動が伝わるみたいで怖かった……。
―千尋Side end―