甘いkissを君にあげる
私に海の知識があれば、聞かれずに済んだのかも。
本当に馬鹿じゃん。
「あのさ」
気まずい沈黙を破ったのは琉風だった。
「俺、んな人のコトどー思ったりしねぇから」
「ぇ‥‥?」
「隠すなっつってんの」
「隠して、なぃ、ょ?」
駄目。
絶対に言っちゃ駄目。
「嘘つき」
心臓に言葉が痛感した。
琉風に嘘つきって思われたくない。
琉風に惨めな奴とか思われたくない。
琉風の前では明るく居たい。
親に捨てられたなんて言えない。
帰る場所が無いなんて言えない。
施設で育ったなんて言えない。
虐められてたなんて‥‥‥‥絶対に言えない。