甘いkissを君にあげる







「遅い」






急いで屋上に来たハズなのに何故か遅いと言われる。




「はぁ‥‥‥」





もうため息以外

なにも出ない。





「飯わー?」




「えっ!?まだ朝だよ?」




「あぁ、じゃあアレだ」





「????」





「昼休みも来てくれるってコト?」






‥‥‥えぇ!??





「ま、よろしくー♪」





よろしくじゃないよっ!


どうしてこの人はいつもいつも‥‥‥。






「なぁ、」




「はい??」




「そんなに俺が嫌い?」




「え‥‥‥」






冷たい風が肌をかすめる。




嫌いって‥嫌いだけど。



嫌いっていう言葉が

出てこないのはどうして。




嫌いって思うたびに

何かが引っかかる。







「そこ、考えるんだ?」




嫌い?

いや

嫌いじゃない。




「正直に言えば?」





嫌いじゃないよ。



嫌いじゃないのに





「‥‥‥‥」






言葉がでない。






「‥‥好き」





ってえっ!!????



自分でなにを言っているの!?

聞いてきた張本人の彼すらも少し驚いた様子‥。




「フッ‥‥よく言った」





スッと彼の手が私の頭に伸びる。



そして‥




ふわっとした感覚と共に、私は彼の胸に頭を埋めていた。





私‥‥





優しく抱きしめられる。




こんな風に抱きしめられるの‥‥初めてかも。



目が熱くなる。



甘くいい香りが

鼻をかすめた。




コイツ‥‥

すごい優しい香りがする‥‥。




まぶたが重くなるにつれ、彼に身をあずける。




やだ、なに‥?


睡魔が襲う。



起きなきゃ‥‥




コイツになにされるかわかんないし‥‥







そう思いながら


私は彼の胸の中で眠ってしまった。














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