高校生社長
翔太はお茶が入ったグラスを二つ持って、
一つを私に渡した。
瑞々しい緑茶の香りが口に広がる。
「ひなたさ、転校すんの明日だよな?」
突然の翔太からの質問。
なにをいまさら…と思いつつ、
小首をかしげながら答える。
「? そうだけど」
「今度はドジすんなよ?」
「わ、わあかってるって!」
翔太の言葉に、否定をしながらも苦笑する。
あたしが転校する理由―…。
理由は、
fairy×rockの社長とバレそうになったから。
あたしが、まだ発売も
発表もしていない新作の話や、
雑誌制作についての悩みを零してしまったり、
仲の良くなったモデルさんとの話なんかを
つい、翔太にするようにしてしまったせいで。
まぁ、ただのあたしのドジである。