わかれあげまん
仕方なくローテーブルの前で腰をおろした柚を、哉汰は恐る恐る覗き込んで来た。
「ね…ど、どうしたの?」
壊れ物を見つめるかのような哉汰の視線に気恥ずかしさを覚えながら、柚はまたそう尋ねた。
「その分なら今のところは危害なさそうだな。」
哉汰はホッとしたように声音を和らげた。
「危害?」
「渡良瀬だよ。」
その名にピクリと肩を揺らす柚。
眉を顰め、哉汰に尋ねた。
「藤宮くん、先輩と何かあったの?」
「……」
何も答えようとせず、哉汰はテーブルの上にあった煙草の箱を掴み立ち上がった。