わかれあげまん



シンクの方をへと歩み寄り、続いてかちりとジッポーの蓋をはじく音。



煙草に火をつけ、換気扇をオンにした哉汰の背中を柚は心配そうに見つめながらまた呼んだ。



「ね、…藤宮くん」


「気にすんな…あんたに何もないならいいんだ。…けど。」


「…」


くるりと振り返った哉汰の張りつめた表情に、柚の胸の鼓動は少し早まった。



シンクに体重を預けながら哉汰は低く言った。



「約束してほしい。今後もしアイツがあんたに何か言い寄ってきても、絶対聞く耳持たないで。」



え・・・

なに、それ…


どういう意味・・・?


どんどん膨らむ懐疑心に、たまらずまた投げた。



「そ、そんなんじゃ全然わかんないよ、…ねえ、ちゃんと話して?どうしたの?藤宮くんにいったい、何が起こってるの?」



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