わかれあげまん



一瞬だけ目を見張り、それから哉汰は一度だけ手にした煙草を吸った。


それをすぐ脇にあった灰皿で揉み消してしまうと、ゆっくりとローテーブルに戻ってきた。



何か話す気になってくれたのかな。…



と期待を込めて見上げた柚の頬を、哉汰の指がそっと触れてきた。


ピクリと肩を揺らし頬を染め、少し目を泳がせた柚を、哉汰はクスリと笑った。




そ、…



そうだった。



あたしったら、…どうしよう。



藤宮くんの部屋になんて上り込んじゃって…



やばい。



こんなとこ、ルチアちゃんに見つかったら…


きっと藤宮くんに酷い迷惑かけちゃう。






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