海の記憶に残る恋
やがて、妻と娘が出てきた。




三人は浜辺にサマーベッドを二つ並べ、その間にビーチパラソルを立てた。




浜辺にはまだそれほど人はいなかった。




しかし、昼近くになれば混雑してくるだろう。




娘が早速、海で遊びたがっていた。




シンジは再び簡易休憩所に向かい、ビーチボールを借りた。




そのときシンジははっきりと思い出した。




シンジは確かにここに来たことがある。




あれは十五年ほど前、まだ大学生だったころだ。
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