心と、音で。─1年生編─
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──広と出席番号が近かったらな…──


もし出席番号が男女混合なら、“河東広”と“北沢杏里”で前後になる可能性が高かったのに。


でも東海高校は男女別々だから、私と広の出席番号は随分離れてしまった。


『続きまして、新入生挨拶』


先生のマイクの声に、私はピクリと反応した。さっき力たちと交わした会話を思い出したからだ。


──…一体、どんな人だろう…──


『新入生代表、3組、結城瀬南』


新入生代表は、同じクラスの人だった。「はい」と言う声と共に、一人の男の子が立ち上がった。


後ろ姿しか見えないけど、彼はすらりとした長身だった。


淡々と、でも凛とした声で彼は挨拶を始めた。私は静かに、彼の声に耳を傾けた。


彼は挨拶を終えて、自分の席へ戻ろうと振り返った。


私はつい、見惚れてしまった。


凄く、綺麗な顔立ちをしていた。
いわゆる、美少年だった。


彼が自分の席に着くと、先生はプログラムを進めた。










「担任、若かったね」


「ああ、山岸先生?確か29歳って言ってたね」


入学式後、各クラスに分かれてホームルームを受けた。私のクラスの担任の山岸先生は女性で、若い人だった。


私たちのクラスはホームルームが早く終わってしまったから、由希のクラスが終わるまで待つことにした。


今は、同じクラスになった、一条あすかっていう女の子と話している。


丁寧に手入れされている黒髪のボブヘアーは、あすかのトレードマークだ。


「そういえば、あすかはどこ中出身?」


「佐倉だよ」


「じゃあこの辺だね」


「そう。家が高校の近くなの。杏里は?」


「私は福西だよ」


「福西ね!確か吹部が強いところでしょ?」


「知ってるの?」


あすかはにっこり笑って頷いた。


「私、吹奏楽してたから、それくらい知ってるよ」


「吹奏楽やってたんだ!私、中学ではフルートとピッコロしてたんだよ」


「杏里もやってたんだ!私はトロンボーンだったよ」


嬉しい。あすかが吹奏楽経験者だったなんて。


吹奏楽経験者なら経験したことがあるかもしれない。知り合いが吹奏楽経験者だとわかったとき、何とも言えない親近感に駆られる。


今、私はその状態にある。


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