ライフ・フロム・ゼロ
彼は卒業と同時に海外へ行くと言った。
文系の私にはよくわからなかったけど、
研究員というものになるそうだ。
彼は優秀な人だったし、
自分の研究に一生懸命だったことを知っていた。
私は寂しさを堪えながら彼を送り出したけれど、
直後から急に連絡が途絶え、
いわゆる自然消滅の状態になってしまった。
一時期はかなり落ち込んだ。
電話番号も住所も、
すぐに送ると言われたけど
結局一度も手紙は届かなかった。
電話が鳴ることもなく、
メールも届かなかった。
暫くは未練たらしく待っていたけど、
そのうちに携帯を紛失してして番号や
アドレスを変更したことで、
キョウとの縁は完全に切れてしまった。