ライフ・フロム・ゼロ
それからしばらくして
私は就活が忙しくなり、
結局はそこそこ大きな企業で
事務系の仕事をすることになった。
私が大学で勉強した
文学の知識を一切使わない職場だった。
その時慕っていた先生には
出版社などを受けるように
薦めてはもらえたけど、
自分の能力に自信のなかった
私は結局総合職を選んだのだ。
そこに就職し、これまた地味に、
目立たず、普通に仕事をして3年になる。
性格のきついお局様からも
地味だからという理由でか
やさしくして貰えるし、
セクハラで有名な上司も私には手を出してこない。
いいことかどうかはわからないけれど。
正社員で働く分収入は増えたけど
生活はあまり変わらなかった。
実家の借金は少しは減ったらしいが、
完済までは遠い。
実家との関係は、
時折母から長々と愚痴と弱音を
聞かされる電話がかかってくるだけで、
相変わらず地元には帰らないままだった。