ライフ・フロム・ゼロ

「サヤ、私さ、あんたが嫌い」


ナカはゆっくりと、はっきりと、
言葉を吐き出す。


「ずっと、大嫌いだった。
 大学の頃から、ずっとよ?」


「…どうして?」



「どうして、って。そんなこともわからない?
 暗くて、地味で、事なかれ主義で、
 貧乏臭くて、ダサくて、みみっちくて。
 ぶっちゃけ私と正反対じゃない?
 自分でそう思わない?」


「…そっか、」


「ほらね。そうやってさ、
 全て自分が悪いんだ、みたいな
 顔して。可哀想な私、が好きだよねあんた」


「………」


「そういうわけで、私はあんたが嫌い。おわかり?」


「じゃあ。どうして一緒にいたりしたの?
 嫌いなら関わらなければよかったのに」


「うーん、それでもよかったけど、
 家も近けりゃクラスも一緒、バイト先も隣ってなると
 嫌でも目に入るじゃない?
 だからせっかくなら利用させて貰おうと思って」


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