ライフ・フロム・ゼロ


「私さ、キョウ先輩も奪っちゃった」


「………え?」


「お、ようやく喋ったね?
 うん、まあそういうこと。
 キョウ先輩は自分のこと愛してくれてた、とか思った?」


「どういう、こと…?」


「そのまんまの意味。出国する2週間前に告白したら
 けっこう簡単に私に乗り換えたよ、あの人も。
 何回か寝たし。でもさ、あの人優しいじゃない?
 なかなかあんたに言い出せなくて、
 だから私アドバイスしたんだ。海外に出たら、
 連絡しなきゃいいって。そしたらさすがに
 諦めるんじゃない?って。実際そうしたでしょ?あの人」


「…そんな、」


「まあ、そーゆーこと。
 私としてみればあんたの一番大切だったあの人を
 奪うことだけが目的だったワケだから、
 すぐに連絡とらなくなって、それからどうしてんのか知らないけど」


「…や、」

< 148 / 182 >

この作品をシェア

pagetop