ライフ・フロム・ゼロ

ある日、両親に通わされていた
進学塾の帰り、いつも通らない道を通って帰ることにした。


その時別れたばかりの、他校の男子が
しつこく復縁を迫ってきていたため、
待ち伏せされていてはかなわないと思ったのだ。


人通りの少ない道をぶらぶら歩いて帰る時、
ふと薄暗い路地に目を向けたら、そこに高崎博之が居た。


でも、それは私の知っている高崎博之ではなかった。

制服のシャツを外に出し、ネクタイを外して首元をゆるめ、
腰でズボンをはいて、だるそうに壁にもたれかかり、煙草を吸っていた。


私は人違いではないだろうかと目を疑ったけれど、
そのやさぐれた高校生ははどう見てもあの
学園の王子様だった。


高崎博之は、こっちを見て、私が誰だかわかると
いつもの王子スマイルでなくくったりとした笑顔で、

あーあ、見っかっちゃった、と言った。
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