ライフ・フロム・ゼロ



いつの間にか雨は止んでいた。

のろのろと歩きながらまた、思い出す。



高校3年生の秋、これまでいたグループから
ハブられた。
ヒロのことを好きだったグループ内の
女子を「差し置いて」仲良くしていたから、らしい。

つい一週間前まで一緒にはしゃぎ、
お弁当を食べ、放課後にプリクラを撮っていた
仲間たちは私を露骨に無視したり、
聞こえよがしに悪口を言うようになった。
ヒロは気づいていたと思うけど何も言わなかったし、
私だって何も言わなかった。


時期的に、受験シーズンでよかったのかもしれない。
受験勉強に集中するふりをしていればそんなに辛くなかった。

実際目指していた大学は
倍率も、難易度も高かった。
それでもランクを下げることはできなかった。

兄達も、パパもママも
それぞれ有名国立大出身を出ている。
私の学力ではそんなところはまず無理だった。

だからせめて聞こえのいいくらいの
私立大に入らなければならない。

そこまで成績は悪くなかったけど、
その私立に合格できるよう、
私は必死で勉強し、センター試験では
そこそこの成績を出すことができた。
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