ライフ・フロム・ゼロ
「地味…」
苦笑いしながらナカを見る。
明るいブラウンのミディアムヘアに
ゆるくパーマをあてた髪型はナカによく似合っている。
フリルのついたカットソーに
ピンクのカーディガン、
ふわりと揺れるスカートに華奢なミュール。
おまけにサマンサタバサの白のかばん。
THE・モテ系女子。
さすがだと思う。
「そう、地味なんだよね。
デートの時くらい女らしいワンピとか着てさ、
ひろっちのことキュンキュンさせなきゃ!」
「キュンキュン…」
「そう、キュンキュン!
ってことで今週末、キュンキュンな
買い物でもしようじゃないの!」
「…うん、わかった」
こうして強引にナカに誘われるのが、
好きだったりもするのだ。
そして私たちは土曜に、大きな
ファッションビルに来た。