ライフ・フロム・ゼロ
天国へようこそ
現実に於いて
「…終わったぁ」
小さく呟く。
定時から30分後のオフィスは、
すでに半数ほどの人しかいない。
出入り口で挨拶をして、
タイムカードを押す。
ナカのタイムカードは定時から5分後には既に押されていた。
肩の凝りをほぐしながら
会社のエントランスを出ると、
空には暗雲が立ち込めていた。
今にも泣き出しそうな、
分厚い雲はいつもより少し早く
周囲を暗くしている。
「傘、持ってきてないしな…」
本当はスーパーに寄って、
食材を買って帰るつもりだった。
まあ、今日の夕食分くらいならどうにかなるだろう。
今日は直接家に帰ることに決めた。