ライフ・フロム・ゼロ

「うわ、かわいい」

「でしょ?でしょ?」


そこには、同じデザインの色違いの傘が数本立てられていた。
どれも落ち着いた色合いで、女性らしい細身の傘だった。


「雨降っちゃったんだもん、買うよね?」


「んー…かわいいとは思うけど」


「なによー」


「私はコンビニ傘で充分かも。高いしこれ。」


「確かに高いけどさ、可愛いじゃん?
 うちらもう社会人だよ!コンビニ傘なんて
 持ってたら笑われちゃうよ!」
 

「相変わらず気が早いね」


「ね、これは?」


「うーん…ちょっと派手かも」


「これは?」


「私には可愛すぎる…」


「もう!じゃあこれは?」


「……きれいな色」
< 88 / 182 >

この作品をシェア

pagetop