西野くんの偽カノジョ
「…何でですか!
本当に好きな人がいるのにどうしてこんなことするんですか!
西野くんは…
西野くんは自分の本当の好きな人だけ見てればいいんです!」
俯いていた顔を上げて西野くんの目を見つめて
西野くんの心に届くように
自分の想いを全部押し殺して必死にぶつけた。
「意味分かんねぇよ!
俺はちゃんと目を逸らさずに見てる。」
西野くんもあたしの目を見て真剣に答えてくる。
でも…
「見てないです…
西野くんはちゃんと見てない!」
言った瞬間、敬語を使ってないことに気づいたけど
今はそんなことに気にしている場合じゃなかった。
「結衣、落ち着けよ…」
そう言ってあたしの頭を優しく撫でてくれたけど
あたしはその手をすぐに拒んで西野くんの手を払った。