西野くんの偽カノジョ



「…何でですか!



本当に好きな人がいるのにどうしてこんなことするんですか!



西野くんは…



西野くんは自分の本当の好きな人だけ見てればいいんです!」



俯いていた顔を上げて西野くんの目を見つめて



西野くんの心に届くように


自分の想いを全部押し殺して必死にぶつけた。



「意味分かんねぇよ!



俺はちゃんと目を逸らさずに見てる。」




西野くんもあたしの目を見て真剣に答えてくる。



でも…



「見てないです…



西野くんはちゃんと見てない!」



言った瞬間、敬語を使ってないことに気づいたけど


今はそんなことに気にしている場合じゃなかった。



「結衣、落ち着けよ…」



そう言ってあたしの頭を優しく撫でてくれたけど



あたしはその手をすぐに拒んで西野くんの手を払った。



< 100 / 355 >

この作品をシェア

pagetop