西野くんの偽カノジョ



「…いいんです。



それにあたし西野くんに嫌われてますから。



つばきちゃんと幸せになってくれればそれでいいんです。



だからもう…忘れます。」


あたしがそう言うと、



「本当にお前はバカだよ。


もう少し我が儘になればいいのに」



と言いながらあたしの頭をポンポンとして切なそうに笑った。



「そんな…あたし我が儘ですよ?



無理言って偽彼氏になるように頼んじゃったし…」



できるならあの頃に戻りたいよ。



つばきちゃんと付き合ってるのを知らなかったあの頃に…



「…しょうがない。…いいよ。」



そう言って翔太先輩はあたしのことを抱き締めた。


「翔太…先輩?」



あたしは翔太先輩のあったかい温もり包まれて



何度か抵抗しようと思ったけど今だけは誰かに抱き締めて欲しくて



この気持ちを分かって欲しくて



その想いに負けたあたしは抵抗せずに翔太先輩の腕に包まれていた。



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