西野くんの偽カノジョ
「それって…彼女いないってことですか?」
「…いねぇよ。
お前さ、本当に呆れるくらいつばきのこと好きなんだな。」
まだ誤解してる。
全然違うのに…
好きな人っていうより恋敵なのに。
「じゃあ好きな人は…?」
「お前今日どうしたの?
そんなこと知ってどうするんだよ。
結衣はあの先輩が好きなんだろ?」
「あたしのことはどうだっていいんです。
…教えて下さい。」
もうあたしの頭の中にはそれしかなかった。
聞いたってきっと良いことなんてないのに
でもどうしても知りたかったんだ。
「…いるよ。
もう高校生になった時からその人のことしか見てない。
鈍感で本当に困るし
泣き虫だし
すぐに逃げるしそばに置いておくのが大変な奴。
でもそいつには好きな人がいるから終わりだな。
誰かは自分で考えろ。それ以上は教えねぇ。
お前のせいでまただるくなってきたから今日はもう帰って。」
そう言うと、西野くんは布団の中に潜りこんでしまった。
そしてあたしも荷物をまとめると西野くんの家を出た。