西野くんの偽カノジョ
…負けた?
いったい何を?あたしに?
全然分からない。
ハルくんと争いごとなんてしてなかったのに。
「あー!結衣ちゃん、ストップ!こっちの話だから気にしないで?
負けたっていうのは俺が結衣ちゃんにからかってたことを
結衣ちゃんの素直さに負けたってことだから…ごめんね?
結衣ちゃんの気持ちはちゃんと分かってるよ。」
そういうことだったんだ…
良かった、争いごととかじゃなくて。
「全然大丈夫です。あたしの方こそ、
今まで内緒にしてくれてありがとうございました。」
あたしはハルくんに小さく頭を下げた。
ん?
一瞬、横で何だか西野くんがムッとしたような顔をしてたような…
「全然!結衣ちゃんに頼まれたことだからね。
今日はもう遅いし、教室に荷物を取りに行って帰ろうぜ。」
「…だな。」
「はい!」
こうして短いような長いような文化祭、イケメンコンテストは幕を閉じたのでした。
だけど、この時あたしたちを涙しながら見ていた人がいたなんて…
今のあたしには知るはずがありませんでした。