西野くんの偽カノジョ
「忙しい中、すみません。
あの…ちょっと聞きたいことがあるんですけど…いいですか?」
あたしは控えめに聞いてみた。
西野くんの顔を見ると、あたしが滅多に教室に来ないからか物珍しそうに見ている。
「いいけど、どうしたの?」
「えっと、つばきちゃんのことなんですけど…」
「はぁ…またかよ。お前本当につばきのこと好きだな。そんなに気にしてどうすんだよ?」
やっぱり言われた。
今度は目を細めて見てくるし。
そんなに気にしてどうすんだよ?って言われてもやっぱり気になるんだもん。
「最近、つばきちゃん見ないから気になっちゃって…
それに西野くんにもべったりしてないですし。」
あたしはそっぽを向いて答えた。
「べったりって…。そんなしてないだろ。
今日の朝、先生と話してる所見たし昼休みにでも行ってみれば?」
あたしの頭を撫でながら言う西野くん。
なんか丸め込まれちゃった気がする。
あたしや女子達に見せ付けるくらいべったりしてたくせに。
本当に胸が痛くて辛かったのに。
でも、そのことは顔には出さずに
「はい!今日の昼休みに行ってみます。ありがとうございます。」
今日いたなら絶対に話に行かないと。
次来るのだっていつだか分かんないし。