西野くんの偽カノジョ
「ハル、お前本当にどっか行け。」
あたしが今ハルくんの隣にいるから一緒に睨まれてるみたい。
こ…怖すぎる。
あたしまで何か悪いことをした気分。
「せっかく昼休みが終わるから迎えに来てあげたっていうのに。
じゃあどっか行けって言われちゃったから2人で行こっか?」
とあたしを見て言うハルくん。
「はい!」と笑顔で言うと、西野くんは「隣なんかに行かすかよ。」と言って
自ら真ん中に入ってあたしの手をハルくんにバレないように繋いだ。
西野くん真ん中好きじゃないはずなのに。
ハルくんが前、あたしが「いつも西野くんに全然結衣は何も分かってないって言われる」って相談してみたら、
西野くんのことを教えてくれた時に葵は"真ん中が嫌いだから、絶対にはじっこに行く"って言って教えてくれたのに。
あたしがボーっとしていると「行くぞ」と言って引っ張られてあたし達も屋上を跡にした。
階段を下りて教室に向かう間、あたしは1回だけ繋いでいる手をぎゅっとしてみた。
そしたらぎゅっと西野くんも握り返してくれて、1人で嬉しくて、ドキドキしてきて
西野くんが見れなくなったあたしはハルくんに話しかけられても俯いて答えることしかできなかった。
そしてあたしは彼を誰よりも大切にしようと思った。