西野くんの偽カノジョ




「ごめん、西野くん!今日は結衣が用事があったんじゃなくて、私が市川くんに用があって一緒についてきてもらったの。



だから悪いんだけど、市川くん呼んでもらってもいいかな?」



サラッと隣のひとみがそう言ってくれた。



あたしがついてきてもらったのに、嘘つかせちゃってごめんね。



心の中は罪悪感でいっぱいだった。



「そういうことね。そうならそうと早く言えばいいのに。結衣はいつまで俯いてんだよ。」



そして西野くんはあたしの頭をポンポンとしてきた。



そしてあたしがゆっくり顔を上げると「変な奴」と言ってデコピンされた。



「痛っ…」



「今、ハル呼んで来るから待ってて。」



そう言うと西野くんはまた教室に戻って行った。



そして、すぐに今度はハルくんが来てくれた。



「おはよ、結衣ちゃんと…野中さんだっけ?俺は…



『市川晴斗くんですよね!イケメンコンテストで優勝した…』」



すごい嬉しそう…満面の笑みで話してるし。



イケメンコンテストの時も興奮してたもんね。



さっきも目の保養とか言ってたし。



「嬉しいこと言ってくれるじゃん!事実は3位だけど、葵が俺にあげるって言ったからね!



それで今日はどうしたの?」



と聞かれてひとみはあたしを見て「ほら…」と言った。



そしてあたしは「本当はひとみが用があるんじゃなくて、あたしがハルくんに用があったんです。」と正直に答えた。



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