西野くんの偽カノジョ


「ぐすっ…ふぇ…」



こんな言葉を言いに行くために葉山先輩に送ってもらった訳じゃないのに。



あたし…謝るどころか酷いこと言っちゃった…



取り返しのつかないことをしちゃったよ…



それにまた勉強道具…西野くんの家に置いてきちゃったし。



本当にあたし何をするために西野くんの家に行ったんだろ。



あんなこと言っちゃったし、もういつ捨てられてもおかしいくない…



「ふぇーん…にじの…ぐん」



こんなのわがままでしかないけど


嫌いにならないで下さい。


あたしは公園のベンチに座って一頻り泣くと



近くにあった水道の蛇口を捻って顔を洗った。



そして…今からもう1度西野くんの家に行って謝りに行こうと思って



近くにあった時計を見上げると、バイトに行かないと間に合わない時間で



あたしは西野くんの家には行かず、バイト先に向かって走った。



走りながら…みんなにまた迷惑をかけないように、西野くんとのことは考えないようにして…


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