西野くんの偽カノジョ



バイト先に着くと、お店の前には人だかりができていて



裏口から中に入って「お疲れ様です」と言うと



それに気付いたひとみが「お疲れ!」と言うと、忙しそうにケーキを運んで行った。



今日何かセールとかでもやってるのかな?



あたしも急いで制服に着替えて手伝いに行かないと。


出勤のタイムカードを押して、西野くんのお父さんの所に向かった。



「お疲れ様です!」



あたしはいつものように笑顔で挨拶した。



さっきのことを謝るのと、ケーキのことは今は忙しいから後にすると決めて。



「お疲れ、結衣ちゃん。ちょうど来てくれて良かったよ。



今日、注文されたケーキの他にクリスマスケーキの宣伝のために試作品も一緒に出してるんだよね。



ホームページに書いただけなのにあんな溢れかえるくらい人が来てくれちゃって…」



苦笑いのおじさん。



でもおじさんとおばさんの作るケーキはほっぺたが落ちちゃうくらいおいしいもん、



それなのにクリスマスケーキの試作品まで食べれるって知っちゃったら、そりゃ食べに来ちゃうよね。


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