西野くんの偽カノジョ
「結衣ちゃん、上がっていいよ。」
おばさんはティーポットとカップをのせたトレーを持ってあたしに声を掛けてきた。
閉店したのはちょっと前だけど、明日の準備と掃除をしていた。
「はーい!もうすぐ終わります!」
モップを店内にかけたら今日の業務終了。
掃除が終わって、事務所に行くとおじさんとおばさんが待っていた。
「お疲れ様です!」
「結衣ちゃん、お疲れ!そこの椅子に座って。」
おじさんとおばさんは疲れた顔を1つ見せずにあたしに促した。
「はい」と言って、言われた通りテーブルの前に紅茶が置いてある椅子に座ると1つの封筒を渡された。
「とりあえず、今日で今月は終わりだから…お疲れさま。」
中身を見てないから分かんないけど、きっとお給料だ。
「…ありがとうございます。でも今月分って来月にもらえるんじゃ…」
まさか貰えるなんて思わなくてびっくりしたあたしは2人に聞いてしまった。