西野くんの偽カノジョ



「俺さ、葵に『これ結衣に返しといて』って言われた時にちょっと結衣ちゃんのノート見ちゃったんだよね。」



悪戯な笑みを浮かべながら話すハルくん。



ハルくんが広げたノートを見てみると、分からなくてそのままにしておいた問題の下には



真っ白だったはずなのに、解き方の文字や図で綺麗に埋められていた。



次のページも次のページも広げてみると、ずっとずっと最後まで解き方がみっちり書いてあって



一番最後の欄には


【俺は結衣が別れたいって言っても絶対に離さないから】



とそれだけ書いてあった。


「ぐすっ…うー」



西野くん…



あんな酷いこと言っちゃったけど



西野くんに会いたいです。


「言ったでしょ?葵に俺もたまに数学分かんないところ教えてもらうけど



こんな風になんか教えてくれないよ?



ましてや嫌いな人になんか絶対葵はこんなことしない。



だから葵の気持ちは1ミリも結衣ちゃんから離れてない。」



ハルくんは最後にこう言った。


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