西野くんの偽カノジョ
side 西野葵
地元の駅に着いた途端、急に結衣が淋しそうな顔をし出した。
なんとなく分かる気がする。
だけど結構早めに出掛けたわりには時間が押していて遅い時間になっていた。
ちゃんと結衣を送り届けないと。
「んな顔すんなよ。別に今日で会えなくなるわけじゃねぇんだからさ。」
「…うん。」
あんまり納得してなさそう。
「年末になったら俺の家に来い。母さんと父さんに結衣のこと…紹介するから」
俺がそう言うと、結衣は顔がぱぁっと嬉しそうになって「行きたいです!」と言った。
本当に単純なやつ。
たった一言でコロコロ変わる。
だいぶ俺も結衣のこと分かってきた気がするな。
たまに凄いことを言い出したりするけど。