西野くんの偽カノジョ
西野くんに腕を引っ張られて歩きながら思った。
あたし…市川くんに口止めしてない!!!
きっと市川くんなら言わないと思うけど…
でもでも…
もしも口止めしないで市川くんが西野くんに話しちゃったら
あたしの気持ちがバレて大変なことになる。
西野君に迷惑掛けちゃうし…
それだけじゃない…
今でさえ嫌われてるのにもっと嫌われちゃう。
それにつばきちゃんとの関係だってこじれちゃうかもしれない。
口止めしないと!
あたしは後ろを振り向いて市川くんに向かって
「さっきのこと…西野くんにも誰にも言わないで下さい!」
と大きな声で言った。
そしたら市川くんは
「分かってるよ。葵に脅されても何されても言わないよ!」
と笑顔で言ってくれた。
…良かった。
これで大丈夫。
あたしはホッと肩を撫で下ろしていると
前に西野くんがあたしのことを思いっきり睨んできたけど
あたしは俯いて何も喋らなかった。