西野くんの偽カノジョ
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連れて行かれた場所は人気のない空き教室だった。
教室に着くと、乱暴にすぐ近くの壁にあたしを押し付けた。
「いったい…お前はどれだけ俺を怒らせれば気が済むんだよ?
図書室の男に…
さっきのハルの口止めもさ…」
最初は怒ったような口調だったのに
途中からだんだん西野くんの声が弱々しくなっていって
顔を恐る恐る覗いてみると苦しそうな顔をしてあたしを見ていた。
思わず抱き締めたい衝動に駆られたけど
その気持ちを自分の中で必死に抑えて口にした。
「翔太先輩のことも
市川くんの口止めのことも…
全部全部西野くんには何も関係ないです。
それにこの関係ももう終わりにしたはずです。
だからこの関係の代わりを考えたら連絡してくだ…」
西野くんにこの気持ちがバレちゃいないように感情を出さないで冷たく答えた。
「…ざけんなよ!」
あたしは西野くんの大きな声にびっくりして肩をビクッとしてしまった。
「絶対俺はこの関係を終わらせない!
結衣が何と言おうと変える気はないから。」