プロポーズをさせましょう【完】





あたしは吸い寄せられるようにその本屋に足を踏み入れた。




レジの前にはおじいさんが目を細めて座っている。




「ほっほっほ。お嬢さんみたいな若いお客さんは久しぶりじゃの~。いらっしゃい」



「あっあっあの!!これ、売り物ですか!?」



あたしは「日本の城シリーズ第4巻」を手に取った。



「若いのに、目があるの。それは印刷部数が少なくてマニアでも喉から手が出るほどの本じゃ」



「いくらですかっ!?」



「13,000円じゃ」



い、13,000円!?



他の巻は定価でも1,200円なのに!!!



諦めよ……。



でもでもでも!!!



たくちゃんの喜んでる顔が見たい。



いやいや、プレゼント買ったじゃないか。



料理も作るじゃないか。



よく考えるのよ、芹。



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