藍色のキミへ
「中山さん、退院出来そうなんですよね?おめでとうございます」
「ありがとうございます」
なんだか、嫌みっぽくなってしまったかなと心配した。
それでも、中山さんは優しく笑ってくれた。
そんな人だから、好きになったんだと思う。
でも、退院したら関わりがなくなる。
切なくて、辛くて、いっそ出会わなければよかったとも思ってしまいそうだ。
「今日は、月が見えませんね」
「そうですね」
俺の心の中にも、雲がかかったみたいにモヤモヤしている。
今日の“ソラ”は、なんだかパッとしない。