藍色のキミへ
自然的な別れ
当然の別れは、雨の日にやってきた。
「退院おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「体に気をつけてくださいね」
「宇宙さんも、お仕事も頑張ってください」
ありきたりな会話を交わして、中山さんは嬉しそうに退院していった。
俺の心は、切なくて苦しくてまるで、今日の天気のようにドシャ降りの雨模様。
「…もう会うことなんかないよな」
自分に言い聞かせて、早く中山さんのことを忘れたかった。
俺だって、退院すれば仕事三昧で恋なんかする時間がないんだ。
この気持ちは、自分のためにも消し去った方がいい。
そう思い込んで、必死に中山さんの笑顔を消そうとすればするほど、強く頭の裏に焼き付いた。