藍色のキミへ
中山さんが、退院してから足のギブスが取れてリハビリに専念した。
そして、病室から見える海が目障りで仕方なかった。
目に入るたびに、中山さんの笑顔を思い出して胸が締め付けられた。
嫌になるくらい、キラキラした奇麗な海。
いつも、中山さんが眺めていた海。
なんでこんなに辛いのに、俺の瞳にはこんなに奇麗に写るんだろう。
自然の力と恋の力は、本当に無限大だと思う。
もうだいぶ、足は動くようになってきて退院も間近けど心は、今だ晴れないでいた。
「今日は、波が荒いな…」
ここから見える海は、いつも穏やかだった。
まるで中山さんのように。
でも、今日は荒い。
中山さんも、荒れる日なんてあるのかな。