藍色のキミへ


「長沢さん、退院おめでとうございます」

月日は、過ぎて俺の足は回復して元通りになった。

今じゃ、走ることもできるようになった。


「ありがとうございます、お世話になりました」


足の傷は、すっかり癒えたけどただ1つ癒えていないものがある。

それは、中山さんがいなくなってから心に開いた穴だ。

その穴は、どうすることも出来なかった。

「長沢さん、これ…」

看護師さんに渡された1枚の紙切れ。


「なんですか?これ?」

「藍ちゃんから、長沢さんが退院するときに渡してって頼まれたの」

「…え?中山さんが?」

「絶対渡してって、なんだか必死だったわよ?」


“退院おめでとうございます。中山藍”


「………中山さん…」


心の穴は、少しだけ埋まった。

ただ、そのかわり無性に中山さんに会いたくなった。
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