藍色のキミへ


「これお見舞いです…」

「…どうもありがとうございます」

そう言って中山さんは、笑った。

でも、その笑顔には元気がなかった。

「発作起こしたら熱が出ちゃって…」

熱で潤んだ瞳、赤い顔、少し荒い吐息、汗ばんだ肌にくっつく髪。

男が欲情する理由は、充分すぎるほどに揃っていた。
でも、俺は欲情しちゃいけない。
中山さんを、俺の我が儘で傷付けたくないから。


「……少し寝てもいいですか?」

「あっ、じゃあ、もう俺帰り…「…側にいて……、目が覚めたときも、側にいてください……」

朦朧とする意識の中で、そう呟いて中山さんは眠りについた。


「…側にいます」
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