藍色のキミへ


中山さんの手を、ぎゅっと握って思いっ切り叫んだ。


「この人痴漢です!!!」

中年男性の手を中山さんのスカートの中から抜いて、手首を捩上げた。


「いてててててっ…!」


それから、満員電車の中はすごい騒ぎだった。

その騒ぎの中でも、中年男性の手首と中山さんの手は、離さなかった。


「駅員さん、この人痴漢です」


駅員さんに一通り電車の中での出来事を、説明すると痴漢は駅員さんにどこかへ連れて行かれた。

そして、連れて行かれる際にこう叫んでいた。


「そんな短いスカートはくから、痴漢されんだよ!この淫乱娘!」


なんだそれ。
意味不明。

あのじじぃ、頭がおかしいとしか思えない。

殴りたい衝動を必死に抑え、中山さんをぎゅっと抱きしめた。


「…怖かった」

「ごめんなさい、車で来ればよかった………」

「宇宙さんのせいじゃないです、助けてくれてありがとうございます」



それから、タクシーで中山さんの家に向かった。
< 59 / 100 >

この作品をシェア

pagetop