藍色のキミへ
中山さんの手を、ぎゅっと握って思いっ切り叫んだ。
「この人痴漢です!!!」
中年男性の手を中山さんのスカートの中から抜いて、手首を捩上げた。
「いてててててっ…!」
それから、満員電車の中はすごい騒ぎだった。
その騒ぎの中でも、中年男性の手首と中山さんの手は、離さなかった。
「駅員さん、この人痴漢です」
駅員さんに一通り電車の中での出来事を、説明すると痴漢は駅員さんにどこかへ連れて行かれた。
そして、連れて行かれる際にこう叫んでいた。
「そんな短いスカートはくから、痴漢されんだよ!この淫乱娘!」
なんだそれ。
意味不明。
あのじじぃ、頭がおかしいとしか思えない。
殴りたい衝動を必死に抑え、中山さんをぎゅっと抱きしめた。
「…怖かった」
「ごめんなさい、車で来ればよかった………」
「宇宙さんのせいじゃないです、助けてくれてありがとうございます」
それから、タクシーで中山さんの家に向かった。