藍色のキミへ


「…中山さん……」

先生が病室から出て行って、2人きりの病室に俺の声が静かに響いた。


中山さんの酸素マスクを外して、とびっきり優しいキスをした。

そして、すぐに酸素マスクを元に戻した。


中山さんは、目を閉じたままだった。

やっぱり、おとぎ話はおとぎ話で、中山さんの意識は戻らなかった。



自分の無力さに、腹がたって涙が零れた。
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